事業性評価の研修講師をさせていただきました

ご縁があり、銚子商工信用組合さんにて2018年7月に「定性分析を中心とした事業性評価研修」というタイトルで、4時間の支店長向けの社内研修の講師をさせていただきました。
※組合さんの名前を出すことは、先方から承諾済みです。

資料について

何度か打ち合わせをさせていただき、最終的には、打合せの内容を踏まえるのであれば、タイトルも、資料作りも、研修の構成も一任していただけることになりました。
いわゆる「専門家に任せたほうが良い結果になるだろう」という判断でした。
これは嬉しいことですが、資料作りから一任されるのは、それはそれでプレッシャーが…。
どういった構成にするか散々悩みましたが、最終的にはワークを多めに行う研修になりました。

詳しいところは省きますが、こんな構成になりました。

  1. ショートワーク(15分)
  2. 事業性評価の必要性などの情報提供(40分)
  3. メインテーマ(ビジョンやSWOTなどの事業性評価に関わること)(演習2回)(90分)+休憩10分
  4. サブテーマ(7つの習慣をもとに展開した内容)(演習1回)(15分)+休憩10分
  5. 事例ワーク&解答解説(60分)

なかでも「1.ショートワーク」と「4.サブテーマ」は、オリジナル性の高い内容だったため、受け入れられるかどうかドキドキものでした。
セミナーなどの資料を作っている時に考えるのが「オリジナル性」の大切さです。
私の中には、客観的な調査結果や一般論も大切だという考えもあります。
なぜなら、それは検証済であるがゆえに相手を納得させるものがあるからです。
しかし、データや一般論だけで展開するのは誰かの模倣という名の劣化コピーとなるだけで、少なくとも自分が楽しめません
他のセミナーと比べて良い悪いではなく、自分の魂を入れられるかどうかがです。
そして、そのオリジナル性も「受講生のためになると信じて考えつづけた結果」であれば、たとえダメだったとしても、自分の満足感はあるかなぁ~と思っています。

「1.ショートワーク」は、事業性評価を語るのであれば大抵の人が読むであろう書籍「捨てられる銀行」のなかに目の離せない文章があり、そこから着想を受けました。
事業性評価という考え方は、国の施策でもありますが、戦後、好景気、バブル期、バブル崩壊、金融マニュアル、リレバンなどの時代背景の影響を受けています。
ただ時代背景というのは、あくまで外部環境の変化であり、個々人ではコントロールできないものです。
しかし、研修を受けた方の行動に繋がる可能性のあるのは、コントロール可能で、かつ行動ができる内部環境である必要があります。
そして資料を作る際に、研修でやらされた感があったとしても、自らの気付きや行動に繋がる何かでなくては、ダメかなぁ~という想いが私の中にありました
このショートワークは、その後の講義に繋げる工夫はしていたものの、本研修の目的である「定性分析を中心とした事業性評価」という内容には不要なワークです。
しかし、ここを外すと「よい研修だった」で終わってしまうのではないかと考えていました。
何人かの方に確認を取ってもらい意見を聞きましたが不評はなかったので、最初のショートワークとして入れることにしました。

「4.サブテーマ」は、7つの習慣を強く意識して作りました。
「いいセミナーを聞けて知識が増えた、他社の事例を聞くことができた」だけでは、行動にも成果にも繋がりづらいと考えています。
とはいえ、私自身は金融業界出身ではないので、どうやったら行動に繋がるかはわかりません。
しかし、どういった経営者が動きやすく、それを支援する方がどの様な心構えと行動ををすれば支援がしやすくなるかは、なんとなくわかります。
そのカギの一つが、7つの習慣の第一の法則~第六の法則だと感じています。
※私が「7つの習慣」の信者、ということもあります。
これも本研修の目的からは、少し外れるように見えるかもしれませんが、実は本質だったなぁ~と感じています。
ただまぁ、7つの習慣だけでは抽象的過ぎるため、その内容をもとにした形でグループごとに過去の成功体験の共有をしていただくことにしました。

あとは、事例問題ですね。
実のところ事例問題の作成は初めてであり、作成は難しいかなぁ~とか思っていたのですが、想定よりもずっと楽に作成できました。
まぁ、追加と微調整の嵐に陥った結果として最後まで誤字脱字がなくならず、後から反省の嵐でしたが…。
難しいだろうと考えていたこともあり、これまでのセミナーなどでは事例問題を入れることはなかったのですが、先日受講した中小企業大学校の研修を受けてから考えが変わりました。
事例問題は受験時代に何百回も解いていたので、とてもなじみ深く、業界むけの資料があり書き方さえわかれば想定よりも簡単に作れるものなのですね。
実際には資料を作るのも、研修の進行でも一番楽しかったのが事例問題でした。

セミナー実施

今回は、会社の健康研究所の屋代先生にお手伝いしていただき、銚子商工信用組合さんの本社で研修をさせて頂きました。

やっぱり、最初のショートワークはドキドキでしたね。
誰にも見せる必要がないという条件で、5つの質問を15分程度でやってもらいました。
この質問を答えるには自らの心に問いかけなければいけなく、非常に難しかった思います。
しかし、この質問により良いスタートが切れたのではないかと考えています。

次いで、事業性評価の基本的な流れやロカベンの説明でしたが、ここは屋代先生にお願いしました。
屋代先生の講義は、堂々とした態度で、声の通りも良く、さすがの一言でした。

今回のメインテーマである定性分析は、ある意味で中小企業診断士の範囲ど真ん中ですね。
時間の関係上で、細かな話をしては意味がないので、中小企業の課題になりやすいこと、経営者の考えていること、あるべき姿、経営課題、SWOT、クロスSWOTなどをお話させていただきました。
SWOT系では、簡単だけど意味深いワークを2本(比較形式をとっていたので正確には1本)、少し重めだけど今後考えていかなければいけないワークを1本やってもらいました。
SWOT分析は、非常に使い勝手の良いツールであり一般受けもいいのですが、難しい所もたくさんあります
なぜSWOT分析をやるのか?、盲点は?、どう活用するのか?、などについて、ワークを通して理解していただいたつもりです。

サブテーマは、7つの習慣をもとにした話です。
第一の習慣、第四の習慣、第五の習慣、第六の習慣をベースに、「どうやったら行動をするか、どういう効果があるのか」などを経営者をターゲットにしつつ金融機関としてできることについて、私視点として話をさせていただきました。
そのうえで、第六の習慣について、受講生の方々ができるものは何かを、これまでの経験をもとにグループワークしてもらいました。
ちなみに7つの習慣では、第一の習慣「主体的である」、第四の習慣「Win-Winを考える」、第五の習慣「まず理解に徹し、そして理解される」、第六の習慣「シナジーを作り出す」となっています。

最後に和菓子販売製造業の事例問題でした。
※私の知り合いの中に「和菓子製造販売業」でピンとくる方がいるかもしれません。色々とオリジナル要素もありますし、設問は全く異なりますが、業種の着想はそこからです。
これは1時間ちかく時間をとり、個人ワークとグループワークをやっていただきました。
受講生にとっては一番難しいところであり、かつ一番楽しかった話だと思います。
特に、グループワークはワイワイとにぎやかに進んでいたと思います。

最後に、出席者と名刺交換をさせて頂きました。
受講生全員との名刺交換というのは気持ちがいいものですね。

アンケート結果など

好意的な結果であり、全員から「とても満足した」「満足した」という結果を頂きました。
前向きなコメントも多く、「ジックリと時間をとってまたやってもらいたい」、「部下にも役立つ」などがありました。
一方で、「もう少し時間が欲しかった」というものもありました。事例問題を見て回った時の感想もつなげると、事例問題は想像以上に時間がかかるものだと感じました。
ここは次回から改善予定です。

また、今回の研修についてサポートしていただいた銚子商工信用組合の方は、「うちの研修では珍しいぐらい真剣かつ活気があった」と言っていただけました。

今回の研修は、生みの苦しみも多々ありましたが、全体的に楽しく仕事ができ、アンケート結果も良く、大変良かったです。
別の場所や別の形で、また研修をやらせていただける嬉しいですね。

 

(中小企業診断士 布能弘一)

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