支援事例:小規模現場での受発注・入出荷管理の業務効率化の相談
【相談内容】
受発注、入出荷など管理で商品や数量の間違いを減らしたい。
クラウドサービス導入も考えていが、運用費が高いため導入を見送った。
【本支援の概要】
相談のスタートは、ある公的機関での相談業務中の空き時間の雑談で「製造に数か月かかる製品を仕入れ、卸小売業に販売している企業の総務から相談を受けた。様々な業務をこなす中で需要予測も行っているが精度を保ちつつ作業量を減らしたい。クラウドサービス導入を検討していたのでIT導入補助金を斡旋したが、年額運用費が高くて二の足を踏んでいる」という話を聞きました。
こちらも雑談のつもりで、あれこれ対策を話したところ、直接事業者に連絡して、同じ相談業務の次の空き時間に事業者に直接来ていただくはこびとなりました。
前の時点からお困りごとが変化していたのか、再度お困りごとの確認をしたところ、需要予測や作業量よりも商品管理の方が、よりお困りのようでした。
話を再整理すると以下の通りでした。
- 最も困っている点は、2人でチェックしても時々発生する、入出荷時の商品や数量の間違いを無くしたい
- 膨大に手間のかかる作業ではないので、新たに人をを雇うほどではないし、クラウドサービスの年額30万は高い。月1万ならなんとか払えるが…。
- 導入経費は多少かかっても良いが、補助金などを活用したい
- 入出荷時にはバーコード管理ができると良いと考えている
- 需要予測、受発注管理、入出荷を含む在庫管理、納品・精算書作成にはExcelを使っている
- 需要予測の方法は定量発注
- 製品数は少ないが、数量はソコソコある
- 受注先が業者の場合、間違い防止のため、電話などの口頭での受注は受けず、メールとFAXを使った受注をしている
- ExcelのVBAでプログラム開発できるレベルではないが、通常の業務を行う点でITリテラシーは高く、Googleスプレッドシート、Googleフォームなどのサービスも知っている
ここまで話を聞き、全体最適ならクラウドサービスの導入が正解だと考えたものの、お困りごとの重点は「商品管理」なので、バーコードを使いつつ工夫でどうにかできると判断しました。
私からの提案は以下の通りです
- バーコードを読み取るハンディーターミナル(端末、バーコードリーダー)を使い、商品管理をするのは良い。ハンディーターミナルだけなら数万円で導入できる。
- ハンディーターミナルには、CSVファイルでデータ化できるものもあるし、定量発注に対応したソフトが付随していることもあるので、購入前に自社にあったハンディーターミナルを調べ、発売元に自社の状況を説明して、最適なハンディーターミナルを購入する。
- 業者からの受注間違いを防止するため、Googleフォーム(もしくはMicrosoft Forms)などを使って受注申込のホームを業者に公開、定型フォーマットで間違いなく受注を受けつつ、メールで自動返信、データも蓄積する
- ご自身で対応できることも多いものの、自動化が必要なケースとして、CSVデータをパソコンの特定Excelファイルに取り込む、受発注データと在庫データの突合せなどが考えられる。
専用のクラウドサービスを導入しないが自動化はしたい場合、システム開発も考慮したい。 - 補助金を使うのであれば、IT導入補助金では対応できない。小規模事業者持続化補助金や、都道府県の助成金を考えたい。
より具体化するには、更なる業務効率化、セキュリティや情報の機密性などの落とし穴を埋めていく必要はありますが、導入資金・運用資金を抑えつつ、工夫でどうにかする案を提案できたと思います。
事業者とは30~40分程度の相談でしたが、大変喜んでいただけました。
【今回のポイント】
- 紹介案件は相談事は変化しやすいので、事前情報だけで先入観を持たず、再確認も必要
- 課題だけでなく、企業の状況、担当者の状況なども知る(今回の場合、受発注状況やITリテラシーなど)
- より良い手段だとお金をかかることも多いが、それを嫌がる事業者も多い。優先課題を知り、お金をかけず工夫で対応できないか検討する
- 課題を持つ時点で、事業者側に具体案がある場合、それも考慮する(今回は、バーコードの利用)
- 状況と課題に合わせて、実現可能な提案を行う
自画自賛に聞こえるかもしれませんが、この手のことができる専門家は少なく、それ故に自社で課題を抱えたまま進まない事業者も多いと思います。
ちなみに本案件の支援の補足です。
相談業務中の制約で直接的な支援も業者の紹介も話せませんでしたが、本内容であれば当事務所で受けることも、IT事業者さんのご紹介もできる案件でした。
当事務所では、Zoom等の問合せも受けているので、まずご相談いただければと思います。