ITとIoTの違い
先日、IoTのセミナー講師をしたときに、「今日説明されたIoTの具体例ってITの話じゃないの?IoTってよくわからない」とつぶやいていた方がいました。
ITとIoTって、悩ましい関係になるのですよね。
色々な本やサイトを読み漁りましたが、説明しくれてないか、微妙にピントがずれていることが多い気がします。
正式名から判断する
ITとかIoTという略語でなく、正式名でみるとこんな感じです。
- IT(Information Technology、情報技術)
- IoT(Internet of Things、物のインターネット)
うん、わかったような、分らないようなぁ…。
時々、このような説明をして「別物の考え方だよ」と説明している書籍があります。ITとIoTについて触れていない書籍と比べると親切ですが、微妙に納得できないのですよね~。
辞書(Wikipdeia)から判断する
情報技術とは、情報処理特にコンピュータなどの基礎あるいは応用技術の総称。
通信を含める場合を、情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)と言う。
様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。それによる社会の実現も指す。「物のインターネット」と表記された例もある。
こちらも、微妙ですね。
ITとIoTの違い(私の捉え方)
多分、これが正解。
「IoTは、ITの一部である」
例えば、「おもちゃ」と「ぬいぐるみ」の関係のようなもの。
「ぬいぐるみは、おもちゃの一部」、だけど「ぬいぐるみと、おもちゃは、状況によって言葉を使い分けることがある」みたいな感じになります。
例えば、こんな会話をしますよね?
子供:おもちゃが欲しい!
母親:欲しいおもちゃは、何?
子供:クマのぬいぐるみ!
もしくは、こんな会話もしますよね?
子供:クマのぬいぐるみが欲しい。
母親:欲しいのは、おもちゃなの?
子供:うん!
「ぬいぐるみ」と「おもちゃ」が入り乱れていますが、これで会話が成立しないと考える人はいませんよね?
ところが、ITとIoTを会話の中で入り乱れて使うと
Aさん:IoT技術を使って新たな事業をやりたい
Bさん:じゃぁ、IT部門に相談してきます。
Aさん:ITじゃなくてIoTを使いたいんだけど…。
Bさん:だから、IT部門に相談してきますけど…
みたいな感じになるのではないでしょうか?
でも、「IoTはITの一部」という共通認識があれば、上記の会話は以下のようになるはずです。
Aさん:IoT技術を使って新たな事業をやりたい
Bさん:じゃぁ、IT部門に相談してきます。
Aさん:よろしく!
上記のような会話が普通にまかり通る現状を考えると、「IoT」という言葉として、まだまだ認知度が薄いのかもしれませんね…。
IoTを分りにくくしている、もう一つの原因
ITに比べると、IoTというのは、最近聞くようになった新しい言葉です。
このことから、「IoTとは、見たこともない新しいモノ・サービス」というような誤解があるように感じます。
ところが「IoTは、既に身近な存在」なんです。
私は、人に説明する時にJRのSuicaをIoTの例に出しています。
Suicaは、改札口で使っているイメージがありますが、「おサイフ携帯」のように、決済機能としても使えますよね。この、お財布携帯の部分は、インターネットと連動していますので、IoTに該当しています。
他に、身近な物であれば、「高速自動車道のETC」や「スマホでGoogle Mapを使った経路検索」なども、同様にIoTです。
しかし、「IoTは既に身近なもの」なのに、「新しい言葉だから、新しいサービスだろう」みたいな感じで受け止めている人が多く、「旧来からITと言われている分野については、なんとなくIoTじゃない」という、感じを受けているのだと思います。
特に、スマホ、タブレット、PCなどは、IoTのデバイス(IoT的にはハンドセット端末と言われる)なのに、これらを使うサービスは、IoTではなくITだと捉えられている気がします。
(中小企業診断士 布能弘一)