診断士2次試験では、わかりやすく書く
あと数日で、今年の中小企業診断士の2次本試験が開催されます。
この時点になると色々とやることはありますが、今回は「わかりやすく書く」です。
このテーマは、何度もブログ記事で上げている内容ですが、「わかりやすく書く」はマストです。
この能力が非常に低いのであれば、よほど神懸らない限り、本試験での合格は難しいです。
最近、公的機関の方とセミナーについてお話しする機会があり、こんなことを言われました。
- 「とにかく、わかりやすくしてほしい」(5回ぐらい)
- 「専門家(=診断士)なら当たり前過ぎることでも、受講生(中小企業の事業者)は知らないことが多い」
- 「浅い知識でOK。受講生に『自分でもできる』と思って帰ってもらうのが理想」
診断士になってから、「わかりやすく」という話は、耳が痛くなるほど聞きます。
例えば、私の行ったセミナーのアンケートでは、毎回85%以上の受講生から「わかりやすい」という評価をもらっています。
しかし、診断士資格を持つセミナー・研修講師のベテラン陣は皆、「90%越え」を目標もしくはノルマとしています。
私自身にとっても「わかりやすさ」というのは、永遠の課題です。
さて、皆さんが80分で解いた答案はどうでしょうか?
あくまでも80分で解いた初めての答案に限定してください。
何年も2次試験を受験している人は、過去に何度も解いた過去問は80分かからずに理想の文章が書けてしまうので…。
ですから、最近、初めて80分で解いた事例について、自分の答案を見直してください。
「わかりやすい」と感じますか?
わかりやすさには色々とありますが、前述の箇条書きを満たしていますか?
わかりずらいと感じている人は、今のままでは合格が怪しいです。
極論に聞こえるかもしれませんが、残り期間を含めると、財務問題を除けば、「わかりやすさ」を重視した文章のトレーニングに絞り込んでも良いくらいです。
ちなみに財務は軽視してはいけません。
事例1~3が50点台だけど財務事例が80点オーバーで合格する人は毎年いますし、逆に財務で泣く人も非常に多いのも2次試験の特徴です。
2次試験における論述試験では、設問に沿った文章、適切な与件のキーワードや知識の活用など総合力勝負の面もあります。
これらがすべてOKだとしても、相手に伝わらない文章では絶対合格できません。
また、他の受験者と比べて相対的に、相手に伝わりづらい文章では、合格ぎりぎりのラインとなった場合に、合格率が高いとは言えません。
私がこれまで見た統計データでは、合格者の多くは250点以下です。その僅差を勝ち取った一因が、わかりやすさだったかもしれません。
「相手に伝わるレベルだから良いか」と思っている人だとしても、「普段の仕事で書く文章と書き方が異なる、診断士試験に特化した書き方を『自分』で開発した人」は注意してください。
その文章は、本当にわかりやすいですか?
勉強会グループなどで、解答用紙を交換し合って意見を聞いたとしても、キーワードの入り具合などは指摘してくれても、「わかりやすさについての貴重なダメだし」はしてくれないことがほとんどです。
本来なら、合格が実証されている記述のフレームワークを体得するのが理想ですが、この時期になると、その余裕はないかもしれません。
しかし、現状の自分の傾向を分析をすることには意味があります。
現状分析をしないということは、改善の機会を失うのと同義ですから…。
一度、80分で書いた文章を、診断士試験をしたことのない家族や友達に見せて、意見を聞いてみるとよいかもしれません。
内容については意見を省いてもらい、どこが難しく感じ、どこが読みずらい文章に感じたかなど、わかりやすさだけの意見を聞いてみると、良いと思います。
そのうち、自分が納得できる意見で、かつ、短期間で改善できそうだと自分が感じる意見だけで良いので、改善を試みてみましょう。
何年もかけ、または数百時間をかけて、二次試験の勉強に費やしている人は、1%でも合格率を高めたいと考えていると思います。
あと数日で、その1%を上げられるのは「わかりやすさ」かもしれません。
(中小企業診断士 布能弘一)