診断士とペーシング
先日、中小企業診断士の2次筆記試験の合格発表がありました。
さて、今回の記事を書こうと思ったのは、中小企業診断士の勉強支援を行っているあるFacebookページの投稿がキッカケでした。
「日本で唯一のコンサルタント資格」という説明は、間違いか、少なくとも正確ではない、〇〇〇は思っています。
この説明には、一番のキモである「中小企業のための」が漏れている。だから、中小企業のなんたるやを理解、意識していないであろう解答は合格ラインに達しないですし、合格しても中小企業のために資格を生かす活動をしないと、それこそ記事にある「宝の持ち腐れ」、まさにそう思います。
https://www.facebook.com/groups/188719574644632/permalink/793363514180232/
この一文は、とても刺激的でした。
私の合格年度に「今年、自分で合格できるだろう」と確信した瞬間がありました。
また、稀にですが「この人は診断士っぽくない」と感じる診断士に会うこともあります。
自分の2次筆記試験の不合格前の状況や、診断士っぽくない人と感じる状況は、「中小企業のため」というところが、”抜けている”、または”意識しきれていない”という点があります。
もちろん、人それぞれですし、状況もみな違うので「これが足りない」と一言で話すのは難しいものがあります。
しかし、そんな中でも、一つだけ確信していることがあります。
それは、「相手に合わせるペーシングができていない」ということです。
ペーシング
まず、ペーシングの英単語である「pace + ing」の「pacing」の日本語訳は「歩調を合わせる」だそうです。
最近、私が勉強している*NLPでは、ペーシングを以下のように書いています。
*NLP(Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の略称で、 別名「脳の取扱説明書」とも呼ばれる最新の心理学です。)
NLP用語集:ペーシング
コミュニケーションにおいて信頼関係を築くことができます。
NLPのペーシングは基本となるテクニックです。
さらにペーシングの考え方は、対面したコミュニケーションだけでなく、文章やメール、ビジネスレターなどにも使うことができるのです。「相手が話しやすい雰囲気や空気をつくりだし、安心感や心地良さを感じてもらう」
というコミュニケーションで一番大切なことにも使えるNLPテクニックとして使われています。
そこではじめて、信頼関係を築きやすい状態ができるのです。
ここでは、ペーシングのテクニック面は少し置きますが、最も大切なのは以下の2点だと思います。
- 相手がいる
- 相手のペースに合わせる
その結果が、NLPのページにもある
- 相手が話しやすい雰囲気や空気をつくりだし、安心感や心地良さを感じてもらう
- それが、信頼関係を築く
に繋がるのだと感じます。
私が2次試験に不合格になった年を振り返ると、「相手がいる」「相手に合わせる」という状況に、うまく対応できていなかったと感じます。
悪い言い方をすれば、「俺が、俺が」「自分のテクニックは凄いだろう」という面もあったと感じます。
例えば、
- 制限字数一杯に、詰め込んで沢山を書く。(例えば100字制限の解答欄の中に、5個も回答を書く)
- 中小企業の経営者が、ほぼ知らないであろう専門用語を多用する。
- 中小企業の経営者が、少し勉強すれば知る可能性の高い切り口を使わない。
- ABC社の質問や現状(与件)に沿わない返答をする。
- 読めない字で書く。
- 文章が読みづらい。(因果がおかしい、主語・述語などを省く)
などです。
一言で言ってしまえば、「相手を意識していない、相手に合わせようとしない」のです。
これは、受験生だけでなく、中小企業診断士になっても意識しない人がいます。
こういった人が、なぜ診断士に合格できたのかは不明ですが、40~50人会って1人いるかなぁ~、ぐらいの数の少なさです。
では、逆にどういった解答であればよかったのでしょうか?
前述のように「相手が話しやすい雰囲気や空気をつくりだし、安心感や心地良さを感じてもらう」へと繋がることが大事だと思います。
相手が話しやすい(=読みやすい)雰囲気や空気とは
- 常に相手の話に沿っている。(←できていない人が多い)
- 相手の知識・経験から外れない。(←特に重要)
- 相手の聞きたいことに答える。(←かなり難しいが、誠実に答える努力をする)
など、相手のペースに合わせることです。それが安心や心地良さを感じることへとつながる一助になるはずです。
しかし、診断士は単なる話し友達ではなく、お金を頂く専門家という側面があります。
それには、これらを満たしたうえで、
- 相手に納得される切り口や専門用語を使った、論理的な回答をする
必要があると感じます。
「自分の専門性を沢山アピールしたのちに、相手の話を聞く」という逆の手順をする人もいます。
これが有効な場合もありますが、1回限りのコミュニケーション(診断士試験で言えば2次本試験)では、NGです。
相談に来た企業の経営者は、自分の聞きたいことや、解決してほしいことがあり、相談やセミナーに来たのに、なぜ相手の話す訳のわからないこと沢山理解してからでないと、自分の聞きたいことや、解決したいことを聞けないのでしょうか?
そういった専門家に対して、ごく短時間で、安心や心地よさを感じることができるのでしょうか?
まずは、相手に合わせることが大切です。
ここまでを一文で言えば、「診断士活動全般でも、2次試験対策としても、相手のペースに合わせることが必要だよ」ということです。
ここまで偉そうに書きましたが、私もまだまだできていないことが多く、ここまで読んでくださった皆さんと、一緒に進歩していきたいと考えています。
(中小企業診断士 布能弘一)