外相の専用機の”おねだり”報道から宣伝広告について考える
河野太郎外相「ふざけた言葉を使うのは信じられない」 19日付産経新聞朝刊4面“おねだり”報道に激怒 – 産経新聞
河野太郎外相は19日午前の閣議後会見で、外相専用機の導入をめぐり、同氏が平成31年度予算での実現に意欲を示す同日付の産経新聞4面の報道に対し不快感を示した。「『おねだり』などという、ふざけた言葉をメディアが報道に使うのは、私にはちょっと信じられない」と批判した。
また、河野氏は「経費を削減しながら訪問国や(海外要人との)会談の数を1つでも増やそうと、外務省一丸となって努力している。理解をして(記事を)書いているなら倫理にもとるし、理解しないで書いているなら能力に問題があるといわざるを得ない」とも述べた。http://www.sankei.com/politics/news/171219/plt1712190018-n1.html
「おねだり」は、わかりやすく、インパクトもある。広告宣伝活動としては見習いたい部分もある
「おねだり」という単語には、強請る→ ゆする、みたいな悪いニュアンスを含んでいる。
外相側の視点では「色々と考え、努力しているのに、なんでこんな記事の見出しを付けられなくてはならないのだ」という想いもあるだろう。
私自身から見ても、少しやりすぎだとは思う。
しかし、「おねだり」の4文字だけで何を伝えたいかが非常にわかりやすい。
更に言えば、「報道側がこの件について否定的なイメージを持っている」という感情面と、「(高額な)予算を請求している」という論理面の両面を兼ね備えており、インパクトが素晴らしい。
AIDMA(アイドマ)という消費者の行動プロセスがある。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
企業は購入などの”Action(行動)”に移ってもらうまでに様々な宣伝・広告をしなくてはならない。
しかし、チラシや雑誌広告などの外部向けの情報発信ツールには、紙面が狭く、別の企業の広告も載っているため、消費者は一瞬しか見てくれない可能性も高い。「短い言葉で、的確にポイントを説明しており、インパクトもある」というメッセージを打ち出せないと、消費者は、「気が付いてくれない(注意)」、「関心を持ってくれない」、「記憶してくれない」という状況に落ちいってしまう。
店舗で使う看板やPOPについても、使えるスペースは狭いので、「短い言葉で、的確にポイントを説明しており、インパクトもある」ようでないと、店舗や商品について関心を持ってもらえず、商品を買いたいという欲求も沸きづらい。
また、人間は行動に移る際には、論理面で考えたことよりも、感情面で感じたほうが、強く作用するとも言われている。
例えば、広告宣伝の媒体の典型例として、
- 今のままだと状況が悪化するなどのネガティブな感情の引き起こし
- この商品・サービスを使えば問題点が解決する等のポジティブな感情への転換
というテクニックをよく見かける。
「おねだり」という言葉は、こういったテクニックとは違った面はあるものの、非常に感情に訴えかけやすい言葉である。
「おねだり」という単語を使う機会は少ないかもしれないが、このような「短い言葉で、的確にポイントを説明しており、インパクトもある」単語は、広告宣伝する側として、常にアンテナを張って、少しづつ蓄積していきたい。
(中小企業診断士 布能弘一)