診断士2次試験の攻略のカギはオブジェクト指向+α

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久しぶりに中小企業診断士2次試験について書きます。

現在は5月中旬ですが、中小企業診断士試験を勉強している受験生は、「経営情報システム」を勉強していますよね。
初受験の方であっても、予備校に通っている場合は、ゴールデンウイーク前後には「経営情報システム」を一巡したはずです。

今回のテーマは、「診断士2次試験の攻略のカギはオブジェクト指向+α」です。
「え~、何それ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、すこしばかりおつきあいください。

3つのモデリング技術

業務系のソフトウエア開発は、「現実世界をどのようにコンピューターで表現・置き換えていくか」という命題が常に付きまとっています。
その問いに先人たちは、歴史的に3つの技法を順次生み出してきました。

  • プロセス指向(POA(Process Oriented Approach))… 最初に生まれた考え方
    どういった処理(プロセス)があればよいのか?
    業務系ソフトウエア開発では、業務をプロセス単位に分割して考えていく。
  • データ指向(DOA(Data Oriented Approach))… 次に生まれた考え方で、「プロセスだけ見ていてはシステムに落としこみにくい」というプロセス指向の欠点を低減
    どういうデータがあればよいのか?
    業務系ソフトウエア開発では、業務をデータ単位に分割して考えていく。
  • オブジェクト指向(OOA(Object Oriented Approach))… 最後に生まれた考え方で、「データを重視しすぎてプロセスが見ない」というデータ指向の欠点を低減
    どういったデータと、それに対するどういう処理があるのか?
    システムを「Object(モノや部品)」という単位で分割して、分割したオブジェクト毎、属性(データ)と、ふるまい(プロセス)がある。
    業務系ソフトウエア開発では、オブジェクト単位に分割して考えていく。
    前述のプロセス指向データ指向の良いところどりして、オブジェクトという概念に昇華した考え方、ともいえる。

 

ここで大切なのは、「現実の世界」という部分です。

診断士試験の受験生の中には、業務系ソフトウエア開発に携わっていない人、ソフトウエアに関して苦手意識を持っている人などが大半だと思います。
そういった方にとって、ソフトウエア(≒アプリケーション)は、Word・Excelみたいなオフィスソフトだったり、Gmailみたいなクラウドサービスだったり、スマートフォンに入っているゲームやスケジュール管理ソフトだったりと、業務処理と一見離れたところに感じて、いまいちピンと来ないかもしれません。
また、ソフトウエア開発に携わっている人にとっては、「POA・DOA・OOAは業務系以外でも使われているよ」というかもしれません。

なにはともあれ、業務系ソフトウエアは「現実世界に存在する企業」を相手に商売をしています。
診断士2次試験は、「現実世界にいる中小企業を支援する能力があるか?、を問う試験」と言っても過言ではないと思います。
目的や手法は全く異なるもしれませんが、似通っているのはわかりますよね。

このため、前述の3つのモデリング技法が有効であるといえます。

P.S.
オブジェクト指向には、「カプセル化」「継承」「ポリモーフィズム」の考え方がありますが、今回の話は「カプセル化」だけです。

プロセス指向・データ指向と診断士試験の関係

ところで、2次試験を勉強している人の中には、「2次試験対策は、プロセスを身に着けていくこと」というようなことを聞いたことがありませんか?
このブログを読んでいる方が、予備校に通っている方、書籍などを通じて独学で勉強されている方、どちらだとしても一度は聞く言葉だと思います。

2次試験は正解が分かりません。
さらに同じ過去問の解答例も、各予備校の模範解答や、各書籍(≒合格者の再現答案)で、皆バラバラです。
そんな中でも、ただ一つ共通している認識が「プロセスを重視している」ことです。

 

ここで質問です。
2次試験が「プロセス」を重視しているのであれば、1次試験は「何を」重視しているのでしょうか?

 

今回は、モデリング技法をベースに話を進めているため、正解を「暗記(≒データ)を重視している」とさせていただきます。
「え、財務や経済は理論(≒解答プロセス)も重視しているよ」という意見もあるかもしれませんが、ここでは無視させていただきます。
財務・経済についてはさておき、「1次試験は、暗記(≒データ)を重視している」というのは、診断士受験生であれば、大きな違和感はないと思います。

さて、1次試験が「データ」、2次試験が「プロセス」を重視しているということは、皆さん、ここまでで、なんとなくわかりましたね。
モデリング技法に倣うと、1次試験が「データ指向(DOA)」、2次試験が「プロセス指向(POA)」と表せますね。

 

ここで一度、心に問いただしてください。
「2次試験のプロセス」って、なんのことだか、よくわからない』と感じたことはありませんか?

 

この「よくわからない」ということについて、以降で解消するヒントを説明することにします。

オブジェクト指向と診断士2次試験の関係

ここで質問です。
2次試験の目的は何でしょうか?

 

平成28年度中小企業診断士第2次試験案内」1ページ目

1.試験の目的及び方法
中小企業診断士試験は、「中小企業支援法」第12条に基づき実施されます。
第2次試験は、「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」に基づき、中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、中小企業の診断及び助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について、短答式または論文式による筆記及び口述の方法により行います。
⑴ 筆記試験
中小企業の診断及び助言に関する実務の事例について、筆記の方法により実施します。
⑵ 口述試験
筆記試験において相当の成績を修めた方を対象に、口述の方法により実施します。

ということで、「応用能力を有するかの判定」が正解ですね。

では、何に対する応用能力ですか?
簡単ですね。
1次試験の応用能力」ですね。

では誰に対して、その応用能力を発揮する必要があるのですか?
これまた簡単ですね。
(現実世界に存在する)中小企業に対して」ですね。

 

ここで、一度整理します。

  • 本項で、2次試験の目的は「(現実に存在する)中小企業に対する1次試験の応用能力(診断・助言)を有するかどうかを判定する」ことを確認することだと分かります。
  • 前項において、「1次試験はデータ指向、2次試験はプロセス指向」と定義しました。
  • さらに、前々項において、「オブジェクト指向は、プロセス指向とデータ指向の良いところどり」「業務系ソフトウエア開発は、(中小企業を含む)現実世界の企業を相手にする」ということが分かりました。

これらから推論されることは、
現実の中小企業への診断でも、オブジェクト指向は有効である
といっても、過言ではないでしょう。

『「2次試験のプロセス」って、なんのことだか、よくわからない』の対処方法

前回の問いかけに戻ります。

『「2次試験のプロセス」って、なんのことだか、よくわからない』と感じたことはありませんか?

 

もういちど、最初の3つのモデリング技法を見てください。

  • プロセス指向… 最初に生まれた考え方
  • データ指向… 次に生まれた考え方で、「プロセスだけ見ていてはシステムに落としこみにくい」というプロセス指向の欠点を低減
  • オブジェクト指向… 最後に生まれた考え方で、「データを重視しすぎてプロセスが見ない」というデータ指向の欠点を低減

 

ここで、データ指向が生まれた経緯ですが、プロセスだけ見ていてはシステムに落としこみにくいということがあります。
ここからわかると思いますが、「2次試験のプロセスがよくわからない」というのは、プロセスだけを見ていて、データを見ていないからです。

「では、データ指向にすればいいの?」と、思い浮かべるかもしれませんが、少し違います。
1次試験はデータ指向で、2次試験はプロセス指向である。
→ 2次試験のプロセス指向が分からない
→ データ指向(1次試験のアプローチ方法)に戻ろう
→ ????
論理が破たんしていますよね。
ここはデータ指向に戻るのではなく、オブジェクト指向に昇華させるべきところです。

 

じゃぁ、「実際には何がオブジェクトで、何がプロセスなの?」という話ですね。
2次試験で扱うデータの種類には、以下のものがあります。

  • 2次試験の設問
  • 2次試験の与件に書かれている「企業の現状と課題」
    (売上低下に対するプロモーション、新事業展開のための採用/教育など)
  • 1次試験で覚えた「切り口」
    (SWOT、市場製品マトリクス、3C、4P(商品/プロモーションなど)、採用/配置/評価/報酬/能力開発、経営指標分析など)
  • 1次試験で覚えた「一般知識の用語」
    (機会/脅威、~戦略、収益性/効率性/安全性など)
  • 1次試験で覚えた「どういったことに対して、どう行っていくべきかといった手法」
    (プロモーションに対して、人的販売、ポスティング、HP、DMなどの手法など)

極論してしまえば、データの種類はこれだけです。

 

そして、2次試験のプロセスも極論してしまえば、以下のものだけです。

  1. 2次試験で頻発に出題される「現状と課題」が問われたら、
  2. 使えそうな「切り口」で多方面から検討し
  3. 現状や課題を答えるのであれば、そのことを一言で表せる一般的知識を
    助言を答えるのであれば、そのための手法を
  4. 問いに沿って、「現状」について、「切り口」で多面的に考え、「一般知識/手法」をつけ加えて答える。

 

事例や問われ方によって多少異なりますが、『このパターンを「データとプロセス」のセットにして整理して、覚え、いつでも使えるようにする。』というのが、2次試験のデータとプロセスです。

「パターンごとにデータとプロセスをセットにする ⇒ オブジェクト指向」

というのが、今回のテーマのまとめですね。

 

実際に行う手順としては

  • よくある問題・課題を切り口としてマトリクス化し、
  • その問題・課題を示す一般論と、助言のための手法をキーワードを用意しておく

ということになると思います。

 

テーマの「+α」について

今回のテーマは、「診断士2次試験の攻略のカギはオブジェクト指向+α」です。
なぜ、「+α」を加えたかというと、これまでの話には欠点があるからです。

前述ですが、こんなことを書きました。

業務系のソフトウエア開発は、現実世界をどのようにコンピューターで表現・置き換えていくかという命題が常に付きまとっています。

 

ここに、「人間にわかりやすいこと ≠ コンピューターにわかりやすいこと」という壁があります。
逆に言えば、「コンピューターにわかりやすいこと」は「人間にわかりにくいともいえます。

 

オブジェクト指向は、現実に近づけようとはしているものの、まだまだコンピューター的な考え方です。
そしてコンピューター的な考え方には、「わかりやすく伝える」という考えが全くありません
しかし、二次試験の目的は「(現実に存在する)中小企業に対して」という前提があります。

 

私は、二次試験の攻略のためには、3段階の壁があると考えています。

  • 一次試験の知識が使えること。
  • その一次試験の知識を、事例企業に沿って、一般論にならないようにすること。
  • 上記の条件に加えて、分かりやすく伝えること。

今回は、分かりやすく伝えることについては割愛しますが、本ブログの別の記事などに書かれているので、そちらも参考にしてみてください。

 

 

 

「オブジェクト指向ってよくわからない…」と思われている受験生も多いと思いますが、上記の内容を一度検討してみてはいかがでしょうか?

(中小企業診断士 布能弘一)

 

 

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