予備校の模範解答でショックを受けすぎない

連日続いた、中小企業診断士の2次試験向けの投稿も、今回で一段落予定です。

そろそろ予備校の模範解答が出始める頃ですが、今回のテーマは「予備校の模範解答でショックを受けすぎない」です。

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実は、予備校の模範解答を見る日は、合格発表日と同じくらい、ドキドキする日です。
そして、予備校の模範解答と自分の解答との違いにショックを覚え、多くの人が脱落したと思ってしまいます。

しかし、自分自身のAランク解答や合格者の答案と、予備校の模範解答を比較したことのある受験生は気が付いていると思いますが、予備校の模範解答はマトを外していると感じることが多いです。
では、予備校の模範解答は間違っているのでしょうか?
いいえ、トリッキーなロジック展開した模範解答でなければ、予備校の模範解答で60点を下回ることはないと思います。

2次試験は、正答が公開されない筆記試験という性質があるため、これが同時に起こりえるのです。

まず予備校の模範解答ですが、これは、①試験結果が出る前の暗中模索の状態で②複数人の登録済みの中小企業診断士が③予備校プロセスで(場合によっては個別オリジナルなプロセスを、複数かき集めて)④本試験と関係ないところで時間を掛けて作っています。
これに対し、合格発表後に確認する答案(合格者の答案、Aランクの答案など)は、①試験に通る優良答案とわかっている状態で②一人の診断士候補が③個々人のプロセスで、④本試験中に80分で作った解答です。
これら
を比較しても、解答の質も条件も、まったく異なっており、参考にしかなりません

 

さらに私の想定ですが、これに輪をかけているのが、⑤難易度による傾斜配点、⑥論述的な配点、⑦採点者などの存在です。

これまでの経験から、事例2や事例4は「傾斜配点」があると確信しています。
特に難易度が高いときは顕著にその傾向が現れます。
予備校の模範解答などをもとにした大甘な自己採点が40点だった人がAランクだった、という話は幾人からも聞いています。
その逆に、他の受験生と比べると、相対的に自信があった事例がBCランクだったという話もあります。

また、キーワード採点だと主張する団体もいます。
私自身も、できるかぎり公平な採点基準にするために、キーワード採点にしている面はあると思っています。
ですが、キーワード採点を重視し過ぎると⑥⑦の視点がなくなります。

キーワード採点を極論すると、キーワードを並べるだけの解答を作れば良いのです。
そんな論理もへったくれもない解答で合格できるのであれば、二次試験は不要です。
診断士のような頭脳労働を売りとする職業も不要です。
辞書やネットで調べれば事足ります。
こういうことを考えると、多かれ少なかれ「⑥論理的な配点」での採点をせざるを得ないハズです。
自分自身の解答が論理的かどうかは、予備校の模範解答を使って比較することはできません。

また厄介なのは、⑦採点者の存在です。
二次試験では、気分にムラのある『人間』である採点者の審査を通らなければなりません。
採点者が複数人の場合、その考え方や質も異なります
これらを考えると、同じ解答が50点になることもあれば、55点になることもありえます
更に、受験生の4人に3人を不合格にする権限を持っています。
その採点者が行った受験生の中で、上位25%をアピールする必要があるのですが、分りにくい文章だとキーワードが入っていても、認識されない可能性があります。
また、何百枚も採点する採点者にとって、わかりずらい解答が続く中、相対的に分りやすい解答であれば、心持ち良い評価をしてしまう可能性もあります。
幸運であれば 採点者次第で、やや良い点が望める場合があります。
特に、ボーダーライン近辺では、この些細な得点差が決め手となることすらあります。

 

ここまでのことを考えると、予備校の模範解答は、あくまでも「参考」にしかならないことが分ると思います。
更に言えば、予備校の解答は80~100点を目指して作られますが、合格には60点あれば十分です。
仮に予備校の模範解答を100点だとしても、3分の1は違う解答でも合格出来るのです。
予備校の模範解答を見て、ショックを受けすぎないようにしてください。

 

P.S.(1)
予備校の先生方は、受験生と同じく暗中模索で模範解答を作っています。
そういう意味では、予備校の先生方にとっては、「出題の趣旨」や「合格答案」は、後出しジャンケンです。
また、複数人で解答を作ると、ベストな解答ではなく意見の強い人の解答となりやすいなど、グループシンクに陥ることもあります。
マト外した解答に見えても、責めないであげてください。

P.S.(2)
最後に「予備校の模範解答は、あくまでも「参考」にしかならない」とまとめましたが、これは合格発表日の前までの話です。
筆記試験に合格した後には、口述対策に備え、予備校の解答も信じてください。
また、残念ながら不合格になって予備校に通いなおす場合にも、プロセスが固まっている予備校では、模範解答を信じることにして、それを指針としてください。
模範解答を信じないで、翌年の受験勉強に臨むのは、アクセルとブレーキを同時に踏むようなものです。アクセルだけを踏んだ受講生に勝てなくなってしまいます。

 

(中小企業診断士 布能弘一)

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