豊洲移転問題とQCD

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こんにちは、中小企業診断士の布能です。

最近、毎日のように豊洲市場移転の土壌汚染についての報道が流れています。

いくつもの問題があると思いますが、今回は、QCD(キュー・シー・ディー)の切り口でブログを書いてみました。


QCDとは

QCDとは、製造業における用語で「Quality(品質)、Cost(価格・費用・コスト)、Delivery(納期)」の略です。

QCDの例として、以下のようなものがあります。

●世界最高品質の時計を作る。【高品質】
この場合は、最高の職人と最高の材料を使うことになるのでコストが高く、じっくりと設計したり、手間ひまをかけるため納期も長くなります。

●コストを抑えて時計を作る。【低コスト】
この場合は、できるだけ安い人件費や材料費で作る必要があります。このため、高い品質は望めません。また、納期が短い場合は、必要な人件や材料を緊急に用意するため、コストが高くなる傾向があります。

●素早くをオーダーに応える【短納期】
上の例とは真逆ですが、素早く時計を作ればがあれば、その分人件費が浮くという考え方もあります。たとえば飲食店の場合、材料費・人件費は変わらず、同じ定食を5分で作るのと、20分で作るのでは、早く作れる方が一食あたりにかかるコストは低いといえるでしょう。

このようにQCDは、トレードオフや相関関係など、綿密に関係することになります。


豊洲移転問題とQCDの関係

報道を見る限り、豊洲移転問題での開発では、あまりQCDが考えられていなかったのでは?と感じます。

最初の段階では、安全(品質)です。輸送や土地の広さなどの立地面や、土地代などの価格面では、東京ガスの跡地がいいのかもしれませんが、「食の安全」という面では、ここを選ぶのはどうかと思います。当初、都は洗浄した上で、土壌汚染も管理できるものと考えていたようですが、実質的には管理ができていないように感じられます。
また、開発が進んだ現在の段階では「納期」が問題です。畑違いですがソフトウエア開発をしていたことがあり、開発現場のことはなんとなく想像できます。開発現場で最後に付きまとう問題は「納期」です。嫌なことを言えば、新規開発では想像以上に予想外のことが多く発生し、予定通りの納品は難しいことが多いです。
更に、コストについては、「入札」という制度の利用に問題があると感じます。入札は、なにやかにやで費用(コスト)を重視するため、見えにくい「安全」は後回しになっている気がします。なお「談合があり割高になったのでは?」といった意見もあるようですが、自分の領域外なので割愛します。

豊洲市場の移転の問題は、消費者の立場から言えば、
「品質」>「コスト」>「納期」

だと思うのですが、開発側の立場からすると

「納期」>「コスト」>「品質」

となっていると感じます。

報道では、都や業者の話などから「スケジュール・納期に間に合わせるため~」という内容が良く見られます。しかし、一般消費者の反応では「汚染による安全への不安(品質)」が最も多く、ついで「ここまでお金をかけているのだから~(コスト)」が多いと感じます。ハッキリ言って、両者の意見がかみ合っていません。このことが、実は一番の問題な気がします。

今回は、QCDの面から記事を書いてみましたが、豊洲移転問題はQCDだけの問題ではありません。また、リスク管理の面で見ると、QCDのうち品質については別の見方もあります。
今後、機会があれば、それらについても書いてみようと思います。

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