下請け取引の価格交渉

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最近、B2C向けの価格転嫁について考えています。
ふと今日、先日手に入れた「中小企業・小規模事業者のための価格交渉ノウハウ・ハンドブック(中小企業庁)」という資料の存在を思い出し、読み直してみました。
このハンドブックは、主にB2Bでも下請け製造業を中心とした内容となっています。
最近、考えていたのはB2C向けの価格交渉だったので、多少方向性は違いますが、なかなかに面白いハンドブックでした。

本記事は、そのなかでも参考になった部分の紹介と、その感想が中心です。
もしきっちりと知りたいという方であれば、原本を読んでもらったほうが良いです。

A4サイズの35ページ程度の資料なので、2~3時間あれば読めてしまいます。

中小企業・小規模事業者のための価格交渉ノウハウ・ハンドブック

 

ハンドブックは以下のような構成となっています。

  • はじめに(狙いや活用方法)
  • こんな取引条件に要注意!
  • 受注者のための価格交渉ノウハウ
  • あなたの会社を守る法律・ガイドライン
  • 困った!そんなときの相談先

実のところ、個々の内容よりも「コラム1~3」がまとまっているので、その紹介と、今回私が調べていたB2Cに使えそうなところについて、ちょっとした感想を書いていきます。

コラム1 発注者からみた価格交渉のポイント(P.16)

価格交渉に臨むにあたり、提示価格や取引先への評価について、発注者の視点を知ることはとても重要です。なぜなら、発注者が着目している情報を適切に提供することで、受注者の交渉力が高まるからです。ここでは、価格交渉において発注者が見ているポイントについてご紹介します。


(1)発注者の価格評価における姿勢

多くの発注者は、客観性のあるデータや合理的な根拠に基づいて価格交渉に臨んでいます。
a) 原材料や部品などの市場価格や動向を把握する。
b) 品番ごとの原価を構成する、原材料価格・加工費率を把握する。
c) 明確な根拠に基づいて、取引単価のターゲットプライスを立てる。


(2)発注者から見た取引先評価のポイント

多くの発注者は、品質の良い製品が適正価格で提供されているかどうか、評価しています。
a) 発注者の生産変動に対応した供給を、安定した品質で行えるか。
b) 継続的なコストダウンを行う技術力や管理力があるか。
c) 経営状態が苦しく、安易に赤字受注を受け入れていないか。

上記をふまえて、受注者も原材料価格など、外的環境の動向を常に把握し、客観性のあるデータや情報を適切に整理することが重要となります。また、品質管理とコストダウンを両立させる企業努力も求められています。

(1)は客観的な合理性、(2)はQCDのうち、品質と適正価格ですね。
どちらも大切ですが、(1)については、次以降の価格交渉におけるコラムでも重視している、大事な論点です。

今回は、B2C向けとしての調査だったので、B2C的な感想ですが、市場動向、ターゲットプライス、安定品質、継続的なコストダウンなどは、B2Cでも共通ですね。
また、赤字受注を受け入れないというのも大切ですね。
B2Cでも、外部環境に反発してでも、現状価格の維持とか、値下げを図るとかありますからね。

 

コラム2 価格交渉で使えるテクニック(P.17)

価格交渉を有利に運ぶためには、交渉相手の取引上の立場や手の内を考えておくことが効果的です。価格交渉の場において、意識しておくとよいテクニックを掲載します。ここでは、値上げを要求する場面を想定していますが、相手から値下げの要請があった場合も値下げ阻止の交渉術として同様のことが言えます。

(1)交渉の前に準備しておくこと

●対象となる製品(部品)固有の情報を整理しましょう。
□ これまでの販売量と価格の推移、価格変更の理由
□ 原価構成(材料費、加工費、管理費、粗利など)

●相手にとって、自社がどのくらい重要な取引先なのか把握しましょう。
□ 現在の競合はどれくらいの価格と品質で製品を提供しているか。
□ なぜ自社が受注できていたか。

●値上げした場合の相手のメリット、または値上げしない場合、相手に生じるデメリットは何か、考えましょう。
□ 価格変更は安定供給や品質安定にどのような影響があるか。
□ 代案として相手に提案できる価格以外のメリットはあるか。

●相手との取引関係を確認しましょう。
□ 下請法が適用される取引か。
□ どのくらい相手との付き合い(取引期間)があるか。
□ 決算書を相手に開示し、経営状況を把握されているか。
□ 相手への依存度はどのくらいか。

●「提示価格」と「留保価格」を考慮した上で、目標価格を設定しましょう。
□ 交渉相手に提示する理想的な価格「提示価格」をどのくらいの金額にするか。
□ 自社が譲歩できる最低の価格「留保価格」はどのくらいか。


(2)いざ交渉を開始しましょう

●交渉のテーブルを設定するよう要請しましょう。
□ 「価格改定検討のお願い」など、文書を発行し、相手に通知しましょう。

●目標価格に近づけるよう交渉しましょう。
□ 事前に整理した情報を把握して交渉に臨み、合理的なデータを提示しましょう。
□ 値上げの必要性を説明したら、まずは「提示価格」を提案し、相手の反応を見ましょう。
売買の交渉の場では相手に先に提案させる方が有利という見方もありますが、最初に提示された金額は交渉の範囲を限定する効果があると言われています。

●必要に応じて、対案・代案を提示しましょう。(次ページ参照)←対案・代替案は資料を読んでください。
□ 段階的に値上げを進めることを提案しましょう。
□ 自社で受け入れが可能な取引条件を提示した上で、値上げを提案しましょう。
□ 取引価格が据え置かれる場合は、相手に引換条件の提案を求めましょう。(材料や製造工程などの条件変更、など)

ちょっと長いのでザックリまとめると、以下のような感じですね。

【交渉前】
①自社の販売や原価の整理
②取引先にとっての自社の影響度の調査
③値上げ・値下げを行う際の交渉先のメリット・デメリットの整理
④目標価格の設定を行う。

【交渉時】
①自社から交渉の要請
②目標価格を提示し、目標価格に近づける交渉
③交渉に沿って、段階的な交渉、取引条件とセットの交渉

交渉前は、交渉相手から見た自社・競合の情報整理、交渉時は心理戦ですね。
私の経験上では、中小企業・零細企業はあまり情報整理はされていないと感じます。
それ以前に交渉前に泣き寝入りの場合も多い気がしますが…。

それはさておき、B2Cでも、交渉前の対応は重要ですね。
逆に交渉時の対応はあまり関係ないですね。しいて言えば、高額商品に対する値引き交渉なら③は考えたいですね。

コラム3 適正取引のための先手必勝5か条(P.24)

受注者が不利な条件下で取引をせざるを得なくなる原因として、契約前の取り決めが確定しておらず、内容が曖昧なまま契約をしていることが主に考えられます。見積りや契約時には、次の5か条を意識しましょう。


1. 価格に影響する外部環境について普段から共有しておく

原材料価格やエネルギーコストなどの動向は常に注視し、取引先と日ごろから情報交換を行いましょう。


2. 取引条件は、先に提案する

下請法に則った正当な条件を見積書・仕様書に明記しましょう。


3. 決まっていること 決まっていないことは都度明文化して相互確認

議事録の作成・共有が難しい場合、“間違いがあるとご迷惑をかけるので確認させてください”と発注者に伝え、FAXや電子メールで確認しましょう。


4. お金の話は、見積時点でうやむやにしない

仕様追加、変更などで価格に影響すると予想されるものは、可能な限り事前に具体的な金額を決めましょう。仕様が確定せず金額を決めることができない場合は、後日
改めて決定することなどを見積書に記載し、双方で価格設定に関する認識をあらかじめ統一しましょう。


5. 後から問題になりそうなことはあらかじめ決めておく

量産終了後の型や補給品についても採算を考慮し、受注数に応じた価格設定を行うようあらかじめ取り決めましょう。また、型の維持費の負担方法(部品価格上乗せ or 別費用請求)は明確にしましょう。

ここはB2Cには使えないですが、下請け業者であれば大切なところですね。
取引先にとって、重要度が高い下請け業者であれば、あるほど効果的な内容です。
金銭面や条件面を口約束だけで発車して、後で「違う」とかなること、結構あるのですよね。
交渉力が弱い下請けだと泣き寝入りになるパターンですね。
こういったところは押さえておきたいですね。

 

 

今回のブログは感想文的な内容となってしまいましたが、この役立つハンドブックの存在事態を知らない方もいると思うので、発行元である中小企業庁の宣伝だと思ってください。

(中小企業診断士 布能弘一)

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