ITの進展は恐れるに足らず?

ニュースを見たり家電量販店に行ったりして、IT機器を見ると、ITの進歩には驚かされることが多くあります。
200年ごろにはITの進歩の速度は、ドックイヤー(人間の7倍の速さで年を取る犬を例えた)といわれていましたが、2010年頃にはラットイヤー(人間の20倍の速さで年を取るドブネズミ)だという言葉がはやりました。そして、現在は、IT業界だけでなく全業種を巻き込んで加速している状況です。

この20年近くの間、私がインパクトを覚えたバズワードだけでも、「インターネット」「HP、掲示板、ブログ」「EC(ウェブ販売)」「SNS(Facebook、Twitter、LINE)」「Suica(≒フェリカ)」「スマートフォン」「クラウド」「VR(仮想現実)、AR(拡張現実)」「IoT(モノのインターネット)」「AI(人工知能)」など様々あります。

IT機器の代表格であるパソコンやスマートフォンの普及率をみると、1990年代前半はパソコンを持っている家庭はごく少数でしたが、2016年末時点で、国内のパソコンの普及率は一世帯に1台以上だそうです。スマートフォンにおいては2007年に登場してから、あっという間に普及が進み、2016年末時点では、スマートフォンの普及率は70%近くだそうです。

こんな状況なためか、ITに苦手意識を持つ人が多いと感じます。
ITが苦手という人には出会いますが、ITが得意とか、苦手意識がないという人は稀な気がします。

しかし、これをコンピューターの基本的な考え方の1つである、5大機能(=5大装置)から見ると、少し様子が変わります。

  • (演算装置)CPUなどコンピューターの頭脳
  • (制御装置)コンピューター全体の制御
  • (記憶装置)HDDやSDカードなどのデータ記憶
  • (入力装置)キーボード、マウスなどによる入力
  • (出力装置)ディスプレイやプリンターなどへの出

プラスで、インターネットやWi-Fiなどの「ネットワーク」が、現在の主なコンピュータの主要な機能(=装置)となります。

 

 

5大機能の考え方は古く、1945年頃に提唱されました。
各種装置でみると、高性能化や、多様化が進んでおり、1945年どころか、数年前には考えられなかった商品も多数あります。
しかし、新たな商品を5大装置+ネットワークという切り口で分別した場合、この切り口に収まらないことは稀です。
例えば、私はBluetooth型のイヤホンに初めて着目したときには衝撃を受けましたが、5大装置で切り分ければ、昔からある出力装置の一つであるイヤホンが無線になっただけです。タブレットPCやスマートフォンなんかも、極論してしまえば、ノートパソコンをベースに、文章入力よりも閲覧性を重視して画面だけの形状にしただけです。

また、IT技術の進展においては、飛躍した考え方が少ないような気がします。例えば、Excelは新しいバージョンが出ても、以前のバージョンがわかっていれば使えますし、同じ系列のソフトウエアであるGoogle スプレッドなんかも、Excelの知識があれば容易に使えます。
さらに、専門領域になれば別ですが、多くのソフトウエア・ハードウエアは、万人受けしやすく、初心者に親切な使い勝手(ユーザインタフェース)を実装しています。

これまでのことを考えると、ITは進化はしているものの、少し触れる機会があれば何とかなることも多いです。
ということから、ITは恐れるべきものではないと、私は感じています。

P.S.
よくITやAIが進展するとなくなる職業っていうのもありますが、決定的な業種はともかく、多くの業種では「どうやってそれを使ってやるか」、「どうやって差別化・分別するか」の2つで何とかなることも多いと感じています。AIの進展は目を見張るものがありますが、現状では、人間の思考の代替は、かなり限定的ですので…。

 

(中小企業診断士 布能弘一)

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